マイクロM&Aとは?メリットやデメリット、成約までの期間と費用(コスト)を解説

小規模M&Aのカテゴリーの1つであるマイクロM&Aについて、メリットとデメリットを詳しく解説します。
マイクロという名称だけあって、譲渡する規模は小さい事業や法人が主になります。
そのため、会社譲渡などの大きな売買についてはスモールM&Aの別途記事を参照してください。
マイクロM&Aとは
マイクロM&Aは取引額が数万円から数千万円規模のM&Aのことを指します。
個人事業主や小規模事業者あるいは事業そのものが対象で、事業承継や小規模事業の拡大を目的として行われます。
一般的に想像する事業(街の商店など)以外にも、いわゆるウェブサイト、ECサイト(アカウント)、SNSアカウント(YouTubeやインスタグラムなど)、スマホアプリ、ゲームのアカウントといったものも広義にはマイクロM&Aになります。
マイクロM&Aのメリット
マイクロM&Aの主なメリットには以下のようなものがあります。
- 市場参入:新市場や新規顧客、技術やノウハウの獲得に繋がる
- 事業拡大:サービスの拡充により競争力強化へ
- 事業承継:後継者問題の有効ない解決策
- シナジー:コスト削減や生産性向上
- 低コスト:取引額が小さいのでリスクも最小限
特に低コストである点がマイクロM&Aの魅力になります。
小さい事業であれば例え失敗しても損失は軽微ですし、再び売却して元手を少しでも回収することも可能です。スモールM&Aと違って小回りが利くのが最大のメリットと言えます。
マイクロM&Aのデメリット
一方で、マイクロM&Aのデメリットは下記の通りです。
- 不確実性:買収した事業や企業が期待通りのパフォーマンスを発揮しない可能性
- 信用リスク:取引相手が個人になることもあり信用度にバラつきがある
- 法的リスク:買収プロセスや買収した企業および事業そのものに問題が発生する
やはりマイクロと名の付く通り、事業規模が小さいため売り上げなどのパフォーマンスが期待通りでない可能性は高くなります。
また取引相手が個人または個人事業主といった法人でない場合もあり、一般的な法人にくらべると信用度が見劣りします。
マイクロM&Aの成約までの期間
マイクロM&Aの成約までの期間は、案件によります。
例えば街のパン屋さんなどの一般的な事業であれば、概ね3か月~6ヶ月程度の期間が必要とされています。一方でSNSアカウントのようなネット事業であれば交渉、契約締結、代金の授受までが1週間程度で済むことがあります。
一般的なマイクロM&Aの基本的な流れは下記の通りになります。
- M&Aの準備(仲介事業者への登録や各種契約)
- 対象売買先の選定(買い手および売り手の選定)
- 交渉
- デューデリジェンス(調査)
- 最終契約締結
- 成約
ここはスモールM&Aと同様、特に長くなるのが、対象企業の選定と交渉とデューデリジェンスです。
これがネット事業になると
- M&Aの準備(仲介事業者への登録や各種契約)
- 対象売買先の選定(買い手および売り手の選定)
- 交渉
- 最終契約締結
- 成約
ここまでが数日で終わることがあり、別途記事にしますが、ウェブサイトあるいはアカウントの売買であれば1日で終わることもあります。
マイクロM&Aの費用(コスト)
また実際のマイクロM&Aでは、次のような費用(コスト)が想定されます。
- デューデリジェンス費用:法務・財務調査にかかる専門家への報酬
- コンサルティング費用:M&Aアドバイザーや仲介業者への手数料
- 法務費用:契約書作成や法的手続きに関わる弁護士費用
- その他の諸費用:交渉や手続きにかかる諸経費
ただこちらは一般的な小規模事業であればの話になります。
先ほどのネット事業であれば、案件を掲載したプラットフォームへの売買手数料とエスクローサービスの利用手数料で数万円~数十万円程度が一般的です。
マイクロM&Aの現実問題
マイクロM&Aで生じる現実問題の最たるものは、個人が相手であることが多い点です。
例えばスマホアプリは個人開発のものも多くあり、開発環境やMAU(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー数)での状況次第では想定よりも事業として下振れる可能性もあります。
またこうした個人は信用度に欠けることが多々あり、交渉申込後に連絡が付かない、相手方の情報を抜き取るための虚偽申請、業界人なのに業界用語を誤って理解しているなど、社会人としての常識に欠ける相手に出くわす確率が非常に高いです。
余談になりますが、サイト運営者である当方はこの問題に特に悩まされました。個人のみならず法人代表を名乗りながらもこうした悪質行為に手を染める者もおり、マイクロM&Aの治安は想定よりも悪いと想定しておくほうが良いでしょう。
まとめ:マイクロM&Aは交渉相手の質に課題がある
マイクロM&Aは低コストで事業を売買でき小回りも利く一方、交渉相手の質に課題があるM&Aと言えます。
また事業規模が小さいことから、売上やビジネスの発展性が想定よりも下振れることがあるため目利きが重要です。
よりよいM&Aの実現のためにも、幅広く理解を深めておきましょう。
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